銀行融資の返済年数を安易に長くすべきでない理由
銀行から運転資金や設備資金を借りるときに、その返済年数を何年で設定するかで悩まれる方も多いのではないでしょうか?
単純に返済年数は長い方がいいのでしょうか?もちろん返済期間が長ければ長いほど月々の返済金額も少なくなりますから、経営をしていく上では楽だと思います。しかし長い期間で返していくことのデメリットもいくつか考えられます。
- 残債の減りが遅いため次の借入がやりにくくなる
- 苦しくなった時に借り換えのオプションがなくなる
- 事業スピードが遅くなる可能性がある
残債の減りが遅いため、次の借入がやりにくくなる
その会社の融資額の限度を計算する尺度の一つに、その会社の年商金額の2・3ヵ月分という基準があります。例えば年商が1億2000万円の会社であれば、その会社の融資限度額は2000万円〜3000万円という計算になります。統計的に見ても、これぐらいの額であれば返済不能に陥る危険性が少ないのでしょう。
年商が上がればもちろんこの計算式に当てはめた時の融資限度額は増えますが、資金繰りが苦しくて追加融資を申し込む時は往々にして年商金額が下がっている(事業が減退している)場合が多いため、その申し込む時までに既存の借入を返済しておき、融資枠を空けておく必要があります。
苦しくなった時に借り換えのオプションがなくなる
資金繰りに苦しくなった時の改善策の一つに銀行融資の一本化や借り換えという選択肢があります。例えば、現状で複数の銀行から借入があり、総額で月々100万円の返済がある会社だとして、これらの複数の融資を一本化するように借り換えをして、その際に返済年数も既存の年数よりも長く設定することにより、月々の返済を50万円程度に下げるといったような方法です。借入の残債は減りませんが、月々の返済負担は相当減らせることが期待できますが、当初の借入時に目一杯まで返済年数を長く設定してしまっていれば、この選択肢を使えないという状況に陥ってしまいます。
事業スピードが遅くなる可能性がある
銀行からの借入とは本来は事業の成長スピードを早めるためにあります。自己資金で会社を大きくしていこうとしても、掛ける事ができるお金が少ないためどうしてもスピードは遅くなってしまいます。銀行からお金を借りて大きなお金を動かすことにより販路拡大や社員採用など、様々な面にお金を使うことができるため、成長スピードを高めることができる可能性が広がります。
しかし返済年数を不必要に長く設定してしまい、次の段階の成長のために追加融資をしようとした時に、以前の借入がまだ返済できずに残っていれば、融資申請の際に足枷となってしまう可能性があり、事業の成長に対して自らブレーキを掛けてしまうということも考えられます。 銀行から資金調達するときに設定する返済年数は、長すぎる事も短すぎる事もないように、返済計画をしっかりと考慮した事業計画を立てて、熟慮する時間を割いていただくことをお勧めします。
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